グレート・ピレニーズは原産国やイギリスでは、ピレニアン・マウンテン・ドッグと呼ばれます。 ピレネー山岳地域で古くから使役犬として飼育されていた大型犬です。 グレートピレニーズは牧羊犬としてきわめて高い能力を発揮し、古くから羊の番に最適の犬種と言われています。 この地域は冬期には食物に飢えた狼が羊を狙い、熊も出没する環境下でありながら果敢に家畜を守りました。 狼の襲撃から身(首〉を守るため、スパイクを埋め込んだ鉄製の首輪も考案されています。 この犬の歴史は古く、祖先と考えられるアジアのマスティフが、航海又は遊牧民の移動によってスペインに渡ったと考えられています。 ヨーロッパには大型の白い犬が全土に普及しており、グレート・ピレニーズはイタリアのマレンマ、ハンガリーのクーパースの影響があると考えられています。 限られた地域で独自の発達を遂げた事が高度に純血を保ち、大型犬種の中でもきわめて巨大になったと考えられます。 初期のグレート・ピレニーズが移住者とともにカナダに渡り、同じくイギリスの移住者が連れて来た黒のレトリーバ種と交配されニューファンドランドやランドシーアが産まれました。 15世紀頃には、フランスの城館でグレート・ピレニーズが警備犬として使用されていた記録があり、大きな城館では多数のグレートビレニーズを飼育するのが普通でした。 グレート・ピレニーズはルイ14世の時代に宮廷に入り、フランス社交界で一躍有名になり、白く優雅な風貌とゆったりとした動作が貴族間でもてはやされた事がありますが、本格的に世界に紹介されたのは20世紀の始めイギリスを経由しての事です。 ピレネーの山岳地域で野生の害獣が減少するにつれ、グレート・ピレニーズの数も減少しました。 さらに海外での人気が高まり、原産国からの流出が盛んとなって、絶滅を寸前にした事もあります。 グレート・ピレニーズは家庭犬、観賞犬としての人気が高まり、ペットとしての扱い易さや容姿が重視され、純白の被毛色が好まれる時期が続いたため小型化し、この犬本来の資質が失われたと指摘されています。 近年は牧羊犬としての気質を残す茶やグレーの斑のある、より巨大な犬に回帰する傾向が見られます。グレート・ピレニーズは耳の形と毛の色を除いて、熊に近付く事が理想とされる犬で、「ピレネーの生きた雪のかたまり」と形容される犬です。 グレート・ピレニーズは一時期ピレニアン・マスティフと呼ばれていた時期がありますが、近年は別の犬種として扱われています。 ピレネー山系の使役犬として原形を保ち続けているのはむしろ、ピレニアン・マスティフです。現在もこの山系で活躍する「ピレニアン」はピレニアン・マスティフが多いようです。